【日本の城下町】古の息吹を感じる悠久の日本の城下町20選

【萩】幕末の志士たちの息吹が感じられる毛利氏の城下町

城下町・萩(山口県萩市)は、海と川と塀に囲まれ難攻不落の作りとなっている、幕末の志士たちの息吹と毛利氏の強い思いが感じられる町です。萩城下は、阿武川が造り出した三角州に形成されました。

関ヶ原の戦いで西軍の総大将となり、敗戦によって周防(山口県東南半分)・長門(山口県西半分)の2ヶ国に減封された毛利輝元は、居城として萩の地に築城しました。日本海に突き出た指月山の山麓に平城(本丸・二の丸・三の丸)、山頂に山城(詰丸)を築き、萩城(別名:指月城)としたのです。

萩城は、長州藩第13代藩主の敬親の時に江戸幕府に無許可で藩庁を山口城(山口市)に移すまで、藩庁としての役目を担っていました。明治7年の廃城令によって天守・櫓などを破却するものの、昭和26年には城、昭和42年には城下町が国の史跡となり、昭和46年には指月山が国の天然記念物となったのです。

暫くして城の復元・保存事業が開始され、平成18年には日本100名城に選定されるまでになっています。更に、平成27年には「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の一つとして城下町がユネスコの世界遺産に登録されました。

世界遺産としての萩城下町は、幕末から明治維新にかけて日本を近代国家へと生まれ変わらせるのに主導した長州藩の中心拠点であり、指月山の萩城と山麓の町の武家屋敷・商家などが往時の風情を伝えています。重臣の屋敷が並ぶ「堀内地区」は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

萩市観光協会公式サイトには、萩城下をぶらり町歩きするモデルコースが紹介されています。「世界遺産コース」・「ゆかりの地コース」・「萩城城下町コース」・「旧松本村コース」・「藍場川・平安古コース」です。

「世界遺産コース」は、萩・明倫学舎(世界遺産ビジターセンター)→萩城下町(萩城跡→口羽家住宅→堀内鍵曲→萩博物館→菊屋家住宅→木戸孝允旧宅)→萩バスセンター→萩反射炉→恵美寿ヶ鼻造船所跡→松陰神社→大板山たたら製鉄遺跡というコースです。

明倫学舎は藩校明倫館の跡地に建てられた萩の新しい観光施設で、2号館の世界ビジターセンターでは萩の5遺産を始めとした8県11市に渡る全23遺産の全体像を知ることができます。

現在では石垣・堀の一部に往時の姿を残す萩城跡では、13代藩主・敬親公の萩反射炉や恵美須ヶ鼻造船所の建設を決定した英断を感じる事ができます。また、「堀内地区」の鍵曲という街路では、武家屋敷の土塀越しに覗く夏みかんの黄色い実が萩の風景によく溶け込んで見えます。

菊屋家住宅のある「菊間横町」では、日本の道百選にも選定されている、白壁となまこ壁の美しい通りを見ることができます。この住宅は萩藩の御用商人のもので、400年の歴史を持ち、主家を始めとした5棟が国指定重要文化財に指定されています。

「ゆかりの地コース」は、松陰神社・松下村塾・吉田松陰幽囚ノ旧宅(杉家旧宅)→伊藤博文旧宅と別邸→玉木文之進旧宅→吉田松陰誕生地・吉田松陰の墓及び墓所→楫取素彦旧宅地→旧萩藩校明倫館→円政寺→木戸孝允旧宅→高杉晋作誕生地と立志像→萩博物館→久坂玄端誕生地というコースです。

このコースでは、幕末の偉人たちゆかりの場所を見ることができます。吉田松陰の関係、幕末の志士たちを多数輩出した松下村塾、松下村塾創始者・玉木文之進旧宅、松陰の盟友・楫取素彦旧宅地、高杉晋作や伊藤博文が幼少時に勉学に励んだ円政寺などです。

「萩城城下町コース」は、江戸屋横町→円政寺→木戸孝允旧宅→旧久保田家住宅→菊屋家住宅→菊屋横町→高杉晋作誕生地→晋作広場・高杉晋作立志像というコースです。